黒帯の人の中に独特な受け身を取る人がいた。
その人より上の黒帯の人が、あの受け身は危ない。
一歩間違えたらケガをすると言っていた。
ある時新人さんが、その黒帯の人の受け身の形をマネして身体を痛くした。
黒帯の人がやっているから、それが正しい受け身だと思ってしまい真似をしたらしい。
大事に至らなくてホッとしたけれど、一歩間違えたらケガをするのはその手本となる黒帯本人ではなく後輩になる可能性があるのだということを目の当たりにした。
高段者の人は取りを教える専門なのだから受け身はしない。
だから入門者にしてみたら初段だろうが何だろうが黒の帯を身に着けている人が身近な手本となる。
ましてや社会人になってダイエットや運動不足解消が目的でフィットネスクラブ感覚で入門してきた人となれば、予備知識もないまま先輩たちの真似をすることになる。
黒帯の責任について考えさせられる出来事だった。